ユージさんはとてもヘンな人だ。
初めてお会いしたのは7，8年前だったろうか。
友人で先輩のブルースマン(ブルースハープ)の演奏／パフォーマンスを観る為に僕は渋谷にいた。
地下に潜る隠れ家的な店で、シーナ&ロケッツの鮎川さんもここに立ち寄って演奏した事がある。
ステージというステージはないような、いわゆる泥ブルースな小屋だった。
そこでヘルプとして演奏していたのがゆーじさんだった。

後日、僕と先輩ブルースマンでバンドをやろうってことになった。
というか以前にやっていたバンドを復活させる試みだった。
その時にユージさんをベースとして再紹介されたわけだった。
僕はビックリした。
なぜなら、僕とユージさんは大袈裟に言えば父ちゃんと子供くらい年齢の差があり、僕は当時(今でも)ただのチンピラだったし。。。
ユージさんは会社重役だ。
重役とチンピラ。。。。
それがDr.feelgoodのような『ブルースに貴重を於いたガリガリのロック』をやろうっていうコンセプトだった。
ドラムにはRovoの芳垣安洋さんのとこで当時ローディをやってたWくんが駆けつけてくれた。
とにかく、そんな感じで僕とゆーじさんの関係は始まったわけだ。
もの静かでジェントル。
チンピラとジェントル。
スラムとヒルズ。
すごくアンバランスな感じだけど、ぼくらは妙に合う気がする。
冒頭でユージさんの事を『ヘンな人』と書いたのは、彼が会社勤めをしながら音楽活動をしているからだけではない。
そう言う人は沢山いるでしょう。
ゆーじさんはその上大学に行き(その歳で!!)、大学院にまで行っちまった。。。
油をやり、バンドのプロデュース、、僕から観ればスーパークリエイターってのはこの人だ、、、って思う。。

そんなユージさんがプロデュースしてるバンド『WildWind』の新着CDのジャケット画を僕に描いてくれという。
これまた風変わりな依頼だった。
と、いうのが世界観を明確に指定してきたのだ。
登場人物、背景にある木々、湖。
それらを『面』ではなく『線』で描くという。
それでこんな感じになった。

それから今回はライナーノートも作るから、女性の絵を10パターン描いてくれと言う事だった。
これにも指定がなされた。

(1)バーのカウンターで物思いに耽りながら飲んでいる。
(2)波打ち際のさらさらの砂浜を裸足で歩いている。
(3)ピアノで弾き語りをしている。
(4)急行列車の車窓から風景を眺めている。
(5)ぽかぽか陽気の日に笑顔で自転車をこいでいる。
(6)気持ち良さそうに空を飛んでいる（夢）。
(7)草原で大の字になって空を見ている。
(8)嵐（大雨）の中を小走りに歩いている。
(9)公園の池で小さな子供を乗せてボートをこいでいる。
(10)恋人に、何回もやり直しをしながら手紙を書いている。

上記の中で、(8)に関し、いささか絵的に(シーン的に)いただけなかったので僭越ながら若干物語を変更した。

一気に描き終えたけど、出来上がってみると我ながらなかなかお気に入りになりました。
なるほどね、ユージさんはこの触れば壊れてしまいそうな小さな世界を、音楽とくっつけてどうするのか。自分とても楽しみになった。

ライブは8月27日、中目黒『楽屋(らくや)』。
CDもこの日に発売するそうだ。
落ち着いた雰囲気で、多国籍な料理(おもにタイ料理)を出す店、料理がまた旨い。

中目黒『楽屋』ウェブサイト
http://www.rakuya.net/

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