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2010 05,15 21:38 |
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バラバラになった記憶のカセットテープを繋ぎ合わせてみよう。 回転の中には《過去》と絶妙のバランスを保った《未来》が隠されている。 自分は何者なのか、何の為に産まれてきたのか。 今一度過ぎ去りし日々を思い返し、再び明日を歩く為に。 『君は麗しの80's』だ。 時計の針を戻そう。 僕は高校1年生。 僕がHさんの事を好きになった理由は、今考えれば本当に奇妙な理由だった。 バレンタインにチョコレートをもらったから、だった(笑) おとなしい子で頭が良くてバレー部のスポーツマン。 僕はと言えば脱色したもじゃ髪にワタリのある学生ズボン、自転車はカマキリ(爆)という絵に描いたような。。 およそこの二人は釣り合わない事でしょう。 Hさんが、『放課後帰らないで待ってて。』と言う。 普段おとなしい子が、恥じらいを見せながらそんな事を言うんだから。。 ぼくはもうそれだけでも何かしらを期待してしまって、胸のドキドキで心臓が落っこちちゃうんじゃないかと。 その日は当然放課後まで、その事ばっかり考えて、何も手につかない状態だったと思う。 そして放課後になり、友人たちが帰っていく。 僕はHさんとの約束通り教室で待つ。 Hさんは多分バレー部の用事か何かだったと思う。 『お?帰らんとけ? (あれ?帰らないのですか?)』 友人が言う。 『うんにゃ、後から行っけん。ハシモッで待っちょっくいやん。(いいえ、後から参ります。ハシモトで待っていてください)』 ハシモトというのは定食屋さんで、僕らのアジト(笑)でした。 友人たちが1人また1人といなくなり、、教室に僕は一人。。 窓からは夕焼けの赤が広がる。 さあ、そろそろHさんが来る。 そして、来た。 廊下から気配がする。 僕は、気付かないふりして窓から外を見ている。 後ろからポンと肩を叩かれる。 それで僕はすごくびっくりした(ふり)をする。 振り返る。 Hさんの夕闇に染まった顔。 『ハイ。』 といって、Hさんは僕にチョコレートを渡した。 。。。。なんですか。。この状況は。。? とてもかわいく思えた。 『え?なんで?』 そんなズルいことばを言ったはずだ。 Hさんは僕の事が好きなのだと言った。 で、その日はそれで教室を後にした。 Hさんの家は学校から近かったので、送って、それでハシモトで友人たちと合流した。 ずっとドキドキが止まらなかった。 きっと明日からの一日一日はきっと楽しいものに違いない。 僕らはつき合う事になった。 つき合うと言ってもお互いの気持ちを確認出来てると言うだけで何が起こる訳でもない。 とてもプラトニックな、、。 あの日。 当時は空前のバンドブーム。 僕もやっぱりバンドでギターをやってた。当時と言えばラフィンノーズ、ブルーハーツ、ボウイ、ジュンスカ、etc。。 地方のバンドコンテストの決勝の日。 僕らのバンドは予選落ちだったから、友人たちのバンドの決勝をHさんと見に行った。 その日がHさんと初めての、学校の外でのデートだった。 Hさんの私服姿がまたまぶしくて。 僕はHさんが隣にいるのに、近くにいるような遠くにいるような。 友人たちのバンドの音なんてまるで聴いていなかった。いや、見てたけど。見えてなかった。 Hさんはキラキラした目で演奏を聴いているみたいだった。 友人たちの演奏が終わる。 『どげんやった? (どうでしたか)』 演奏の事を友人が僕に聞く。 『おお! よかったど! 』 うそばっかり。 聴いてなかったくせに。 そのあと、僕とHさんは自転車で帰った。 それから3日もたたないうちだったと思う。 家の黒電話(ダイヤル式)が鳴った。 そう、あの忌まわしい黒電話。 僕は受話器を取る。 Hさんだ。 無言。 ぼくももう大人だ。 この無言が何を言いたいか察した。 そして案の定。 『話しがあるの。』 さあ、、、、どうしましょうか。。。どうしましょうね? どう、、すれば、、いい? かくして僕ら二人は裏山の公園に居た。 そう、その公園は中学の時の、あの別れの公園。 町は夕闇。 そこで、別れ話とあいなりにけり。 きっと明日からの一日一日はきっと陰鬱なものに違いない。 翌日、友人がHさんに何故別れたのか、僕の了解もとらず聞きに言った。 Hさんはこう言ったそうだ。 『好きな人がおる。』 と。 その人の事がずっと好きだったのだそうだ。でも気持ちを伝える事は出来ず。。 もう諦めていたのだと。 なんと、Hさんの好きな人と言うのは、バンドコンテストに出てた友人バンドのベース弾きだった。 『えええええ?』 そう、最初で最後のデート。。 だから、あんなにキラキラしてたのか。。。 『じゃあなぜアイツと付き合ったのか?』 と友人は聞いてくれたそうだ。 彼女はこう答えたらしい。 『Tくん(そのベース弾き)とアゴが似てたから。。。。』 このHさんとの一部始終を、友人は少しも笑う事なく、深刻な顔で僕に伝えてくれた。 『アゴ。。かあ。。。』 『アゴ、、らしい。。』 なんですか?これは? それ以上何か言えますか? 僕はけっして猪木ではありません。 その夜僕は屋根の上で泣いた。 僕の部屋は2階にあって、机の前に窓があった。 窓を開けると屋根に出る。裸足でね。 瓦の屋根。 良くそこで煙草を吸った。 屋根の上のヤンキー。 風が冷たいのに、泣いているから体は熱い。 涙も。 鼻水も。 涙でぼんやりした星をずっと眺めてた。 こんな歌を口ずさみながら。 JUN SKY WALKER(S) - すてきな夜空 【PV】 後日談だが、そのベース弾きとは大人になった今、親友になった。 同じ店でバーテンをしてた事もある。 数年前は夫婦4人で部屋をシェアして一緒に暮らしていた。 田舎を離れて、今近所に住んでいる。 人生とは、、なんて奇妙な。 こう思う。 あの日、あんなに素敵な夜空を見れて本当に良かった。 ←バックナンバー PR |
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