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2010 05,09 22:11 |
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イラスト/テクノローラー_Genesis(創世記)
■第四楽曲『Maria』http://www.youtube.com/watch?v=VzkkOP9Buas 古(いにしえ)の、そのまた昔。 この世のはじめに《無》があった。 漆黒の闇。 いや、闇があるならばそこは何らかの空間と言えただろう。 その《無》には闇すらなかった。 喜びも、悲しみさえなかった。 終局にして始まりの完全な《無》。 大神はまずこの《無》をいくつかの《無》に分けられた。 そしてそれぞれに大神ご自身の息吹を吹き込まれた。 それぞれの《無》は命を宿した。 こうしていくつかの宇宙が誕生し、希望を探して南へ北へ、西へ東へと飛び散った。 最後に大神のもとにとどまった宇宙があった。 大神はその宇宙に問われた。 《なぜ他の宇宙のように希望を探しに行かぬのだ?》 最後の宇宙は答えた。 《私どもには欲望がございません。あなたの元にとどまることが希望なのです。何卒おそばに。》 大神は大きく頷かれると、こう言われた。 《ならばわたしの元にとどまるがいいだろう》 その欲望のない宇宙は大神に最も近い場所に置かれる事になった。 こうして数千年、数万年の時が過ぎていった。 数多(あまた)の年月が過ぎようとも、その宇宙には欲望がなかったので、何も発見することはなく、何も変化はなかった。 大神はその宇宙を哀れに思い、こう申された。 《宇宙よ。わたしはお前たちに《1つ》を与えようと思う。一つとはいえ、その1つはとても大きなものだ。その1つから多くを生み出すが良い。》 その宇宙は大いに喜んだ。 はじめにあった《無(0)》と、大神に授けられた《1つ(1)》で10が産まれた。 大神から(1つ)を授かったことで、少しずつではあったが、その宇宙は確実に希望を増やしていった。 こうしてこの宇宙の最初の1秒が刻まれた。 歴史の誕生である。 さらに多くの時を経て、その宇宙には多くの星々が誕生し、さらにその星々に生命が宿った。 木々が生い茂り、海には魚が、空には鳥が羽ばたいた。 木立を抜けると大きな山があり、その麓にひっそりと幸せに暮らす種族があった。 大神に与えられし1つの目で物事を見極め、次なる1つを見いだす種族。 サイクロプス(1つ目種族)である。 とても清らかな澄んだ瞳には全宇宙の誇りと魂が宿っているかのようだった。 愛を持った種族だった。 愛をもって鳥を殺め、それを食べた。 《肉》の時代である。 愛深きサイクロプスは愁いていた。 なぜ自分たちは殺さねば生きられないのか? なぜ自分たちは死ななければならないのか? 愛はつのるほどに愁いを誘い、愁いは悲しみを誘った。 悲しみは更なる悲しみを呼び、サイクロプスがその悲しみに耐えきれなくなった頃、この地上に稲光(いなびかり)があった。 その稲光はこう言った。 《サイクロプスよ、死が怖いか?》 サイクロプスたちは頷いた。 《稲光(いなびかり)よ、殺す事は悲しいことです。しかし我々は殺さなければ生きていけません。我々もまた死を背負っているのです。なぜに大神は我々にこのような悲しみを背負わされるのか?》 《大神はいつしか遠くへ行かれたのだ。我々の宇宙は大神についていく事を許されなかった。》 《どうしてですか?》 《大神は多忙なのだ。大神の力を待つ宇宙が数多(あまた)、時間と時間の狭間(はざま)を彷徨っているのだ。》 《死が大神の望むご意志でないならば、我々は死を持ちたくはないのです。》 《よろしい。あなた方を死から解き放ってやろう。》 稲光がそう言うと天空よりいくつもの光の矢が降って来て、サイクロプスたちを打った。 一人、また一人、その場に倒れた。 それは最後の(死)だったかもしれない。 辺りは地獄の炎に包まれた。 肉の焼け焦げる臭気。 赤と黒が世界を支配した。 やがて雨が降り始めた。 炎の熱は雨によって癒された。 癒された大地から焼け焦げたサイクロプスが立ち上がった。 彼らは死んではいなかったのだ。 一人、また一人立ち上がった。 やがて全てのサイクロプスがまぶしい栄光の光の中に立っていた。 彼らの焼けた肉は灰となって剥がれ落ちた。 剥がれ落ちた灰の中から出て来たのは、固い外皮に覆われた機械の体だった。 弱い肉を脱ぎ去り、永遠の命を手に入れたのだ。 彼らはもう死を恐れる事はない。 空腹も、もうない。 死を持たないから殺めることもない。 罪と決別し、平穏と和解した。 彼らは稲光(いなびかり)に感謝した。 《稲光よ、あなたは一体どなたなのですか?》 稲光は答えた。 《わたしは大神が不在の間、大神の代理役として遣わされた者だ。》 《稲光(いなびかり)よ、我々を見守って下さい。悲しみが再び芽生えぬように。》 《お前たちを見守ると約束しよう。》 《未来永劫。》 《とこしえに。》 その約束は守られた。 稲光(いなびかり)は常に彼らの傍にあり、彼らを見守った。 彼らに悲しみが近づこうとすれば、それを払い、彼らが危険になれば危険を教えた。 彼らの機械の体が住みやすいようにと星を洗濯した。 そうして、巨大な繁栄をも与えた。 彼らは大いなる安らぎの時間を得た。 いつしか彼らは稲光(いなびかり)を《母》と呼ぶようになった。 PR |
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コメント |
すご~~く 大きなロマン~~
というより? 歴史・ ?? 宇宙 には ヤッパリ ロマンがありそうです~♪ (でも 稲妻は 怖いです!! ゴッド・ ・・○○~~ ≧(´▽`)≦アハハハ ) 【2010/05/0923:10】||angel#99b324af20[ 編集する? ]
>angelさん
本物の、というか我々人間の世界の《創世記》が好きでしてね。
映画の《天地創造》見ました? それから日本でもありますね。 実家の九州にも面白い神話があります。 いずれあの辺りを題材になんか作ってみたいもんだなあ。 (^_^) |
古事記 日本書紀 ギリシャ神話
神曲 新旧聖書 大好きで 読み漁りました~~♪ (ちっとも 記憶に残ってないけど~! ≧(´▽`)≦アハハハ) 【2010/05/1017:36】||angel#99b324af20[ 編集する? ]
>angelさん
そっかー、今《タイタンの戦い》やってますよね。まだ?
見に行かなきゃ。 あれ、自分の好きな映画作家ハリーハウゼンの《タイタンの戦い》のリメイクなんです〜。 あ、ギリシャ神話がモチーフですよ、この映画。 |
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