大きな教会。
そこは新築で最近建ったばかり。
宗派はどうでもいいが、地下で暗躍する組織である。
その中に僕はいる。
今日も定期的な会合なのだが、この建物は僕は初めてだ。
牧師が前に立ち説法をしている。
内容は、この新しく建立された教会の建物がいかに素晴らしいものであるか。
また、どのようにありがたいものであるか。
聞いてはいるが、ほとんど解釈はしていない。
なぜなら、この構内の景観に圧倒されていたから。
見事なまでに装飾された壁面。
天井は高くガンダムがすっぽり入ってしまうほどだ。

牧師が声を発するとオルガンが鳴った。
低音と高音のアンバランスに組み合わされた、極めて人工的なテクノサウンド。
音とともに緑色の光が中空を舞う。
《音を目で見る事が可能になったのです》
牧師が自慢げに謳う。

やがて緑色の光は暴走しはじめる。
それは、音の呪縛から放たれたいが為にのたうち回る蛇のように。
幾条にも絡まり合う緑色の光は、その体を何度も教団自慢の天井に打ちつけ、その中の一つがついに轟音とともに穴を開ける。
砕けたコンクリートの欠片が我々の頭上から襲いかかる。
一瞬の混乱に包まれる構内。
《静まりなさい》
牧師がそう言っているようだが、僕にはどうしても
《焼き尽くせ》
と言っているようにしか見えなかった。

天井に空いた穴から外界の光が差し込む。
その神々しいばかりのレンブラント光線に導かれるかのように、１羽のツバメが舞い降りてくる。
まるで天使のようだ。
ほんの数秒の間、皆それを微笑ましく見守った。
が、すぐにその笑顔は凍り付く。
なぜなら、ツバメは炎に包まれていて、その首は半分切断されかかっている。
煉獄の炎に焼かれ、痛みと苦しみのあまりのたうち回って飛行しているのだ。
助けを求めるかのように、我々一人一人につきまとってくる。
構内は最早悲鳴で満たされていた。
グロテスクに吐き出された、剥き出しの狂気が空間を支配する。

一人(性別は定かではない)が、その混乱を沈黙に変える。
そのものの放ったキックが燃え盛るツバメに見事にヒットした。
ゴッ。
鈍い音。
ツバメは瞬時に飛行経路を無理矢理修正され、そのあまりのスピードに炎の衣は脱ぎ捨てられた。
そして、首が飛んだ。

静寂。

我々のうちの一人が言った。
《誰だ？》
一つの言葉は一つの言葉に呼応するように小さな波から大きな波へ。
次第に大きなシュプレヒコールのようになっていく。
《誰だ！？》《誰だ！？》《誰だ！？》
怒りに歯止めが利かなくなった群衆に、牧師がとどめの一言を放つ。
《吊るせ！》
群衆はコントロールされた機械のようにその言葉を繰り返す。
《吊るせ！》《吊るせ！》《吊るせ！》
群衆がツバメにキックを入れた者に襲いかかる。
混乱の中、切り離されたツバメの首と胴体は群衆に踏みつけられ、転がされ粉々になっていく。。。





と、ここで目が覚めました。
これは昨夜見た悪夢。
また汗びっしょりで起きたっけ。
そしてまた女房を起こしてしまいました。

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