お囃子の音が聴こえて来た。
『みこしだ。』
神輿の音は次第に色彩を増すボレロのようだ。
こうやって毎年、祭りですよ、と僕らに教えてくれる。
『ああ、そうか、今日は祭りか。』
そう言って、妻と神輿を追いかけ追い抜き、歩いて20分ほどの神社へ行く。
体調はすごく良くなっていて、驚いた事に体中のむくみが消え去っいた。
ここ数日間の食事で、特に首周りはすごく痩せた。
不健康的ではなく、想像するに健康的に痩せて来た。
体も軽く感じる。

とはいえ、まだ食事は規制しているから祭りに行った所で何も食えないし飲めない。
そんなのでもいいから見たい。
エネルギーに触れたい。

この神社の祭りはものすごく素朴だ。
東京と言えば大きなもので数十万人も集まる巨大祭りがある中、ここの祭りはどこか自分の田舎を彷彿とさせるような祭りだ。
子供たちはおそらく学校の友達だったり、近所の顔見知りだったりするのだろう。
そういう雰囲気が好きで、ここのはほぼ毎年出かけてる。
例年なら少しでも金を落とそうと努めるけど、今年は一銭も落とさなかった、ごめんなさい。

太鼓の音が境内に響く。
『上手だね。』
僕がそう言うと、太鼓を叩いていた子は恥ずかしそうに逃げてしまった(怖がったわけじゃないと思うけど。。。)。
僕も太鼓を叩いてみた。
ボ〜んんん。
体内に響く。
ボ〜んんんん。
恥ずかしがる事は無い。ここは太鼓が鳴っていて当たり前の空間、誰一人注目する事は無い。
ボンボンボンボン。。。
ああ、楽しい。
気持ちがいい。
久しぶりに押し寄せる音楽の感情の気がした。

ひだまりを歩く。
この美しい影は太陽の落とし物らしい。

ふと空を見上げると、まぶしい金色が飛び込んで来た。
『Horizon』で描きたかった空がここにある。
この作品はもうすぐ地球の裏側のペルーで上映される。
彼らも今日、同じ空を見ただろうか？
とても楽しみだ。

[7回]