僕の新作『memories』が銅賞受賞しました。
今回の案件はエイベックス・エンタテインメント株式会社 tearbridge production。
北海道出身のロックバンドTRIPLANEの『白い花』という歌の世界観に合ったショートムービーを製作するというもの。
とても感動的な歌なんですよ。

さあて考えた。
今回はCMではない。
それが何よりも嬉しかった。
自由に表現が出来るからね。

当初、ロボットは純白に設定していました。
そう、雪の白。
しかし、それだけでは感情移入に乏しいと思ったので、全体的に錆をイメージさせるオレンジ(さびは緑だろう！て言わないで〜。それ言い出すとなが〜い論議になっちまう、笑)に変更。背景の全体色ともマッチさせました。
ちなみにこれはロボットでありロボットにあらず。
我々自身です。
悲しみを抱えながらも、涙の流し方すら忘れてしまいがちな我々自身です。
相手を女の子に設定する事で、オールエイジをカバーしようと考えました。
ある意味『美女と野獣』の構図です。

今回一番神経を使ったのは『音』です。
今までのどの作品よりも音の量を削っていく結果になりました。
そして、ラストのピアノ。
僕は役作りをしました。
演技です。
どこまでロボットに近づけるのか。
ロボットの太い指。
回路がつながり、感情が溢れ出す気持ち。
血液の温かさ。
そして、『ここには居ない誰かへ語り始める』。
それはある種の強さにも似た。

最初の実験テイクがあまりにも上手くいっていました。
上手くいった、というのは上手に弾けた、、、にあらず。
簡略して言えば、下手に弾けたのです。
絶妙な間違い加減。
うちの妻はそれがえらく気に入ってました。
間違いながらも、不器用なその太い指でピアノを弾く姿に心を打たれると。
けど、実験テイクなので尺が足りない。
そこで、何度もテイクを採り直すんだけども、どうしても同じように下手にならない。
いや、むしろ『わざと間違ってる』っていう下手さになってしまう。
あざとい、んだな。
で、何度も何度も採り直す。
やり直せばやり直すほど悪い意味で上達してしまった。
ほらね、役作りって、演技って
やっぱり重要。
結局、間違えたテイクはどれも使えなかったのだけど、テンポがおかしいやつがあったので、それが自分的には気に入って採用しました。

前半部分の音はある物の音を加工して作りました。
表現したのは体内につもっていく涙の音。
それはなかなか吐き出しきれるものではありませんね、少なくとも僕は。
僕たちは『我慢』して生きてるんだろうか？
いやあ、きっとそうではない。
過去の悲しみを体内に蓄積しながらある時期にそれらを放出し、あるいは忘却し、未来に起こるであろう悲しみを少なからず予測し、それでも尚、なんらかの勇気と決意を持って正面に立つ。
億劫で手探りな第一歩の後押しをしてくれるのは、常に自分以外の誰か。
しかし、その一歩と振り上げた拳こそ、『生きる』ことなんじゃないだろうか。

■タイトル／『memories(メモリーズ)』2008年製作
※TRIPLANE第8弾シングル「白い花」ショートムービーコンテスト！！銅賞受賞
画像をクリックで映像を見てください。

※あ、そうそうこれ通信カラオケ「PremierDAM」へ配信される「白い花」の背景映像に二次利用されます。カラオケ行ったら『白い花』歌ってみてね(笑)。

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■映像作品Link free
(アイコン、どうぞご自由にお持ち下さい※CDジャケットのようなものと思って下されば。)

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